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2008.1.25更新
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今回は新企画。宮城第二女子高等学校2年生の皆さんをお迎えして、東北大学機械系の見学ツアーの模様をお届けします! 瀬名秀明さんと高校生の皆さんが向かったのは、摩擦の科学「トライボロジー」で日本を元気にする名物教授・ホッキーこと堀切川一男教授、そして布や髪の手触りを測定する機械で企業との共同研究も進めている田中真美准教授の研究室。恋愛談義に耳を傾け、ボブスレーに乗り込んで、肌のすべすべ度まで測ってみた今回のツアーの成果はいかに? これから3回に分けてお届けします。 《構成:瀬名秀明》

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話しだしたら止まらない
堀切川先生の話
とにかくおもしろい!

 見学ツアーに参加していただいたのは、宮城県第二女子高等学校2年生の皆さん。高校では理系クラス(一学年あたり120名ほど)に所属していて、工学部にも興味を持っている様子。それでも具体的に興味の対象を尋ねてみると、ユビキタスネットワークやウェアラブルコンピュータ、医療・福祉工学、環境・資源と幅広い。今回のツアーではそんな皆さんの希望もあらかじめ聞きつつ、見学先をこちらで厳選。さっそく堀切川一男教授の部屋を訪ねてみた。
 扉を開けると、小さな部屋の中に堀切川教授が共同開発した商品がずらりと展示されていて圧倒される。それでも笑顔で迎えてくれる教授に、みんなは元気に挨拶。どうやら堀切川教授は二女高の近くに住んでいるらしく、まずは地元限定の話題で場が和む。

―― こんにちは! よろしくお願いします。

瀬名 堀切川先生のご専門は「摩擦」ですね。今日はそのお話をたっぷり聞けると思います。

堀切川(高校生たちのほうを向いて)だそうですよ。

―― (笑い)

堀切川 今日は途中でどうしても会議に行かなきゃいけないから、まずしゃべりたいことだけぜんぶしゃべっちゃいます。助手の山口健くんがいますから、難しい質問はぜんぶ彼に(笑)

堀切川教授
名物教授
堀切川一男教授


堀切川教授
名物教授の片腕
山口 健助手

青葉山のキャンパスライフ

堀切川 まず、大学に入ってからの学生生活と研究生活についてお話をします。大学にはここのように堀切川研究室があったり、田中研究室があったりして、みんなはそれぞれ研究室に配属になって、卒業論文を書きます。
 東北大学機械系では、3年生になるときに正式な研究室配属があります。それまではふつうの高校と同じで、学年ごとクラスごとに授業をとる。大学の先生のいる研究室に行くのは、3年生になってからなんだね。ただ一年生のときに「一次配属」という仮配属がある。1年生と2年生はこの仮配属で研究室に出入りすることができて、いま私のところに10人います。
 高校から大学に入ってくると、勉強のやり方も違う。東北大学の場合、一年生のときは教養課程を学ぶ川内キャンパスで授業が多いので、工学部のある青葉山キャンパスまでなかなか上がってくる機会がないんですよ。勉強で挫けそうになったり、ひとりで生活を始めてどうしたらいいかわからなくなったりしたとき、誰に相談すればいいか。
 仮配属先の先生に相談してもらってもいいんですが、それはだいたい嫌なものなんです(笑)。でも先輩なら相談しやすいでしょ。研究室にいる学部生や大学院生に「物理の授業がわからないんだけど」とか、そういう相談をするための制度が大学にあります。

―― (相づちを打ちながら真剣に聞く)

堀切川 でも授業が難しくてわからないっていう相談、先輩の答は「わかってたまるか」ですよ(笑)。1年生のときは大学の授業がわかるわけがない。ちょっとわかる授業があればラッキー。でもね、3年生から先の授業はすべてわかります。一年生の授業がいちばん難しい。どこの大学に行っても1年生の授業はわからない。

 でも、それが大学だという心の余裕を持てばいいんです。それを知らないで入学してくるとね、高校までは毎週授業をやって宿題もやってくるでしょ、それで大学に入って、急に単位制がどんと前に出てきてわけがわからなくなって、つまらなくなる。でも3年生以降はわかるようになるので、1年生と2年生のときはわからなくても楽しいと思って過ごせばいいと思う(笑)。すると大学の授業が楽しくなったころからちょうど研究室に配属になる。

―― (ちょっと安心して笑う)

堀切川 いまは大学院に行く人も多くてね。博士課程前期2年というのが修士課程。大学院に2年間行くと修士号をもらうんです。私の研究室には、修士の学生が1年生と2年生合わせて13人います。博士課程後期3年、つまり博士課程は2人。東北大学出身者だけではなくて、他の大学から大学院の試験を受ける人もいるので、大学院生が多くなるんですね。

―― その修士にはどのくらいの人が行くんですか。

堀切川 工学部に来たら、修士2年の課程に進学したほうがお得です。大学4年が終わって卒業してから、大学院に行く人が東北大学では8割近くもいます。だから10人が入学すると、そのうち8人くらいは大学院2年を上乗せて、それから就職する。いまは東北大学で修士2年を修めたら、ほとんどどこでも希望する会社に入れますよ(笑)。
 工学部はいま圧倒的に就職率が高いんです。バブルが弾けて氷河期の時代になったときでも、工学部は就職がありました。いまは求人倍率が高くなったので、希望するとだいたい行ける。そしてね、工学部の中でいちばん就職率がいいのが機械系なんです。ダントツです。99%以上の就職率。残りの1%以下が、親の家業を継ぐかどうかで悩んでいる人、公務員試験に落ちたけど来年もう一回受けたいとか、そういう事情の人だけで、希望した人はほとんど就職できます。受験雑誌を見ると、東北大学工学部でいちばん偏差値が高くて難しいのは機械知能航空科だそうです。難しいらしいんだけどそんなことはないんで、たいして変わらないです。なんです!(といって最後を強調しながら笑い)

瀬名 堀切川先生の研究室の就職率はどうなんですか。

堀切川 うちは就職に悩む人がいないんだね。でも、たまに試験に落ちてくる人もいます。一社目の試験に落ちたとき、うちの作戦は、その会社より立派で大きな会社を受ける(笑)。むかしひとりいたかな、某自動車会社の子会社を落ちた人がいて、どうしたらいいだろう、しょうがないからじゃ親会社に行こうか、といったらその会社は一発で受かった(笑)。そういう場合もあるから就職で悩まなくていい。
 教員の免許を取る人もいますけれど、学校の先生の採用試験ってすごく厳しいんですよ。免許は取れるけれど、採用してもらえるかどうか。学校の先生になるのがいちばん難しい。
 ついでにいうと、大学の先生だけが、教員免許なしで教員になれる(笑)。日本では大学の先生だけ免許がいらない。だから高校までの先生になりたくてなれない人は、大学の先生になればいい(笑)。非常にわかりやすいでしょ。



 こんなふうに、しゃべりだすと止まらないのが堀切川先生だ。趣味は「妻との対話」とのこと。最近は雑誌「女性自身」の名物企画、「シリーズ人間」のコーナーにも取り上げられている(2007年12月11日号掲載)。
「おおー」
 一同が感嘆の声を上げたところで、堀切川先生は「摩擦」の話を始めた。

 

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