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アキバに機械系が結集! 東北大学機械系フォーラム2008レポート
アキバに機械系が結集! 東北大学機械系フォーラム2008レポート

 引き続き「東北大学機械系フォーラム2008」のレポートをお送りします。2008年5月10日(土)には、展示会場をまわるツアーが実施されました。そのときの模様をご覧ください。

2008.8.8更新

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東北大学 工学研究科 吉田・坂元・中西研/永谷研

吉田・坂本・中西研/永谷研 小型人工衛星、軌道上サービスロボット、惑星探査/災害救助用移動ロボット
「これがJAXAのロケットに相乗りして打ち上げられるスプライト観測衛星『SPRITE-SAT』の実物大模型です。実際の衛星の重さにぴったり合わせた模型で、これで振動試験をして、実際のロケット打ち上げでも支障がないことを確かめる、とても重要な模型です」
SPRITE-SATはシリーズ26で紹介。
「こちらは惑星探査ローバー。日本でも月や火星に探査ロボットを送ろうという計画があります。月や火星は細かな砂で覆われているので、車輪が滑って動けなくなってしまいます。どうすれば砂の上を軽快に動けるか、このようなテスト機を使いながら、レスキューロボットの研究成果を取り入れて実験しています」
質問「地球とは別の環境下の惑星でもきちんと動きますか? どうやって特殊な環境を研究室で再現するのですか?」
「いい質問です。バキュームチャンバー(空気を抜き取って真空 に近づけた小部屋)の中に砂を敷き詰めて、その中で車輪の動きを研究してい ます。でも、もし大きなチャンバーを使うと、空気を抜くだけで数日かかって しまって大変です。そこで私達は、小さなチャンバーを使い、その中に入れる のは、車輪ひとつだけにして実験をしています。重力を変えるのは難しいです ね。落下飛行機の中でやることも技術的には可能ですが、せいぜい15秒くらい しか実験できませんし、えらくお金もかかるのでやっていません(笑)。」
  吉田・坂元・中西研/永谷研 スプライト・サット画像
この冬JAXAのロケットに相乗りして打ち上げられるスプライト観測衛星の模型。衛星の信頼性を確かめるための重要な模型である。(写真下<左側>)
月や火星での探査ロボット、ローバーのテスト機。(写真下<右側>)


東北大学 工学研究科 新井・丸山研

新井・丸山研 ナノ・マイクロロボット、バイオメディカル応用、バイオマシン
たくさんの小さな機械が所狭しと並ぶ。
磁石の力で動く磁気駆動マイクロツールで、細胞ひとつひとつまで小さな溝の中で選り分けてしまうのだ!
「半導体をつくる技術の応用で、このように髪の毛より薄いサイズのマイクロロボットがつくれます。シリコンゴムと酸化鉄の微粒子を混ぜてつくっているので、磁石に反応して自在に動きますから、ちょうど鉄道の車線変更みたいに矢印部分の先端を動かせば、流れてくる細胞のひとつひとつを選り分けることができるんですよ」
医療機器で測定したデータから患者さんの細い血管のかたちを再現してしまう技術! 細いチューブの中で血管の細胞を培養し、患者さんに移植すれば、難しい血管手術に可能性が拓けます。
「このモデルは毛細血管を再構成したもので、直径は数ミリから10ミクロン。虫眼鏡で見てみると、中空になっているのがわかると思います。この中で血管の細胞を培養して、人体に移植します。」
仙台の東北大学とリアルタイムで通信して、マイクロマシンを動かしてしまう実験も!
「細胞やDNAをマニピュレートする(つかんで操作する)ための道具もつくっています。マイクロチップの中に細胞を入れて、外からレーザーを当てて細胞を保持するんです。非接触で精密な作業をすることが可能です。(大学のスタッフに呼びかける)それじゃあ無線で頑張って動かしてみて(笑)」

東北大学 工学研究科 新井・丸山研
東北大学 工学研究科 新井・丸山研 東北大学 工学研究科 新井・丸山研 東北大学 工学研究科 新井・丸山研
磁気駆動マイクロツール
 
動脈の血管モデル


東北大学 工学研究科 流体研

「工学」「理学」「医学」すべての分野の「流れ」に取り組み、世界最高水準の研究を推進します!
「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず(鴨長明『方丈記』)。空間的連続と時間的変化こそが流れの本質。スーパーコンピュータを備えた数値流体力学の最先端研究所、それが東北大学流体科学研究所です! 「これは特別な眼鏡をかけなくても3Dに見える、裸眼立体視のデモンストレーションです。映し出されているのは流体科学研究所の大林茂・藤代一成教授らのグループが計算した、仙台空港の滑走路で起きている乱気流の状態。ジェット機が離陸すると、両翼の後ろにこのような渦ができます。あまり風がないときは、この後方乱気流が滑走路の上に留まっているのでとても危険。いま空港では2分間隔で飛行機を飛ばしていますが、乱気流の状態を常時確認することができるようになれば、管制官もパイロットも安心して次の離陸に早く移ることができて、より適応的な管制に貢献できます。そこで仙台空港にはライダーというレーザーの計測装置が備えつけられていて、そこで計測した渦のデータを手掛かりにスーパーコンピュータをつかって、かなり速い時間で滑走路上の大規模な渦の崩壊の様子を計算できるようになってきました。こういう情報が瞬時に得られるようになれば、そのうち離陸待ちしている乗客の皆さんに『前方のスクリーンをご覧ください、乱気流が消えましたのでいまから離陸します』とアナウンスできますよ。お客さんも安心して空の旅が楽しめます」

早瀬敏幸所長が解説! 流体科学から健康と医療にアプローチする先端研究です。
「最近は診断装置が発達してきて、身体の中を自由自在に見ることができるようになってきました。私たちの研究は、超音波を血管に向けて発射し、そのエコーを計測して、血管内部の血流速度を測定しようというものです。ここに映し出されているのは、動脈瘤といって、動脈の一部が膨らんだ病気です。脳で破裂すると、くも膜下出血で死んでしまいますから、内部の血流の動きを精密に測定して診断に役立てる必要があります。左側が実際の流れのモデルで、中央は通常のシミュレーションの結果です。ほとんど同じに見えますが、右側のものと比較してみてください。右側は計測とシミュレーションを融合して出した結果なんですね。壁に掛かる力が強いところを赤く表示していますが、情報の精度がより高まって、微妙な違いがわかります。診断装置だけではここまで細かいところは測れません。シミュレーションでもここまで細かいところは計算できできません。ふたつを合わせることで、いままでわからなかった血管の中の様子が正確にわかるようになります。このような精度の高い血流情報をその場で医師に提供することで、その動脈瘤が一刻を争うものですぐに手術が必要なのか、それともまだ充分な時間があるのか、そういった診断がリアルタイムで下せるようになります」
質問「血管のどういうデータを入れているんですか?」
「超音波が赤血球に当たると、そこから跳ね返った超音波がドップラー効果によって周波数を変えます。赤血球の速度に応じて変化するので、血液の流れの速さがわかるんです。それをコンピュータに入れると内部の圧力がわかったり、壁の近くの精密な速度の様子がわかります」
仙台空港の滑走路で起きている乱気流の様子。実際のデモンストレーションでは、特別な眼鏡をかけなくても3Dに見える。(右下:解説/藤代一成教授)
東北大学 工学研究科 流体研


超音波を血管に向けて発射し、血管内部の血流速度を測定
東北大学 工学研究科 流体研

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