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カーボンナノチューブとセルロースナノファイバーから高強度導電性複合繊維を開発

【本学研究者情報】

〇流体科学研究所 教授 高奈秀匡
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 単層カーボンナノチューブ(注1)とセルロースナノファイバー(注2)の複合化に成功しました。
  • 交流電場と流動場を組み合わせた独自の繊維配向法を用いて、セルロース繊維に高い導電性を付与しました。
  • 50%という高いカーボンナノチューブの含有量でも複合繊維の高強度・高靭性化に成功しました。
  • 従来の水分センサーに対して約5倍の検出感度を実現し、高強度・軽量、低環境負荷というセルロースの特性を生かした超高感度水分センサーや新たなエレクトロデバイス、エレクトロニクス材料への応用が期待されます。

【概要】

木材繊維を機械的・化学的にナノオーダーまで解きほぐすことのできるセルロースナノファイバー(CNF)は、直径数10 nm程度の高結晶性の超微細繊維であり、次世代のバイオマス素材として注目を集めています。このセルロースナノファイバーを再合成することにより、セルロース本来の有する優れた材料特性を有するセルロース繊維を創製する研究が世界的に進められています。

東北大学流体科学研究所の高奈秀匡教授は、米国ワシントン大学(ワシントン州シアトル)のAnthony B. Dichiara(アンソニー B. ディキアラ)准教授との国際共同研究により、セルロースナノファイバーに高導電性を有する単層カーボンナノチューブを混合することで,新たな導電性複合セルロース繊維の開発に成功しました。従来技術では、カーボンナノチューブ(CNT)の含有により、ナノセルロースファイバー間の結合が阻害され、複合繊維強度が低下することが課題となっておりました。本研究においては、電場と流れ場による独自の繊維配向制御法により、50%という高いカーボンナノチューブ含有量においても材料強度を低下させることなく、導電性セルロース複合繊維を創製することに成功しました。

本成果は、2023年7月12日(現地時間)に米国化学会が発刊するACS Applied Materials & Interfacesに掲載され,本誌のSupplementary Coverに選出されました。

図1.交流電場と流れ場によりセルロースナノファイバーとカーボンナノチューブからなる微細繊維を軸方向に配向させることで,高強度導電性複合繊維を創製。

【用語解説】

注1. 単層カーボンナノチューブ:
単層のグラフェン(ハニカム構造の炭素原子から成るシート状物質)から構成される継ぎ目のない円筒状物質。高い導電性を有し,軽量でありながら高強度,高熱伝導性といった優れた機械的特性を有する。

注2. TEMPO酸化セルロースナノファイバー:
TEMPO (2,2,6,6-tetramethylpiperidine-1-oxyl radical) 触媒酸化により得られたセルロースナノファイバー。ファイバー間の高密度の電荷反発と浸透圧効果により、ナノファイバー化が可能となる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学流体科学研究所
教授 高奈秀匡
TEL:022-217-5223
E-mail: takana*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学流体科学研究所
広報戦略室
TEL: 022-217-5873
E-mail:ifs-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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