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派遣学生REPORT

High Performance Computing Center Stuttgart (HLRS) of the University of Stuttgart /
German Research School for Simulation Sciences (GRS)
(ドイツ シュトゥットガルトおよびアーヘン)

2011年8月31日~2011年9月26日(27日間)

ベクトル型計算機は、数値流体シミュレーション(CFD)をはじめとする科学技術シミュレーションの効率的な処理が可能です。今後は1チップに複数のプロセッサコアおよびキャッシュ機構を搭載するチップマルチベクトルプロセッサ(以下CMVP)の登場が期待されています。しかし、従来のプログラムはマルチコアやキャッシュの利用を想定していないため、CMVPの性能を十分に引き出せず、ピーク演算性能に対する実効性能である実行効率が低下しています。その結果、エネルギー効率が悪化するという問題があります。

私は、この問題に対しCMVPで稼働するコア数をアプリケーションの特性に応じて制御する方法を検討しています。今回は、ヨーロッパ有数の大型計算機センターであるドイツ高性能計算機センター(HLRS)でシミュレーションプログラムについて調査を行い、実際にシステムを運用している研究者らとCMVPにおける消費エネルギーの削減方法について議論を行いました。続いて本研究室と共同研究協定を結んでおり、これまでも継続的な交流を図ってきたドイツ科学大学院大学(GRS)において、計算科学の視点からCMVPにおけるエネルギー効率の改善方法に関する研究を行いました。これらの取り組みにより、ルーフラインモデルに基づき実行コア数を決定することで、CMVPにおけるエネルギー効率の改善が可能であることを明らかにすることができました。また、長期的視野と短期的成果を常に意識しながら研究に取り組む海外の研究者の姿に触れたことも、私自身の学びにつながったように感じています。

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