平成26年4月吉日
東北大学機械系同窓会
会長 阿部 博之
拝啓 春分の候,ますますご清祥のこととお喜び申し上げます.
日頃,東北大学機械系同窓会の活動に対しご高配を賜り厚く御礼申し上げます.
さて,平成25年度通常総会ならびに特別講演会を下記要領にて開催いたします.今回は,元日立ハイテクノロジーズにて執行役常務の大木博氏(精密 昭和47年卒)より「『イトカワ微粒子』解析を通した苦労と喜び ~CTOが垣間見た壮大な科学のロマン~」と題した講演を賜ることになっております.
皆様お誘い合わせの上,ご参加下さいますよう御願い申し上げます
記
以上
『イトカワ微粒子』解析を通した苦労と喜び
~CTOが垣間見た壮大な科学のロマン~
大木博 氏(精密工学科 昭和47年卒)
元日立ハイテクノロジーズ執行役常務
現広島大学客員教授(ナノデバイス・バイオ融合科学研究所)、
早稲田大学ASMeW(先端科学・健康医療融合研究機構)招聘研究員
[講演要旨]
太陽系の起源を調べるために、苦労に苦労を重ねて地球に帰ってきた『はやぶさ』の60億km宇宙の旅。世界初の、小惑星からのサンプル・リターンがもたらした『イトカワ微粒子』は、何と!吹けば飛ぶような塵のようなものであった。その組成・物性を調べる技術はまさに究極の「ナノの世界」だ。JAXA殿のご指導のもと、日立はこの解析設備を開発した。計画から完成まで十年以上をかけ、担当者たちは次々と襲ってくる困難に立ち向いながら、世界初のサンプル・リターンとその解析を夢みて頑張った。
一方、日本はアメリカに次ぐ世界第2位の隕石保有国である。あまりマスコミには取り上げられていないが、これは長年の地道な『南極観測・調査活動』がもたらしたものだ。世界トップクラスといえる隕石研究と世界初の『イトカワ微粒子』研究が融合して、世界中の学者が協力して現在も進められている太陽系の起源の研究の成果が楽しみだ。
講師はこの分野の専門家ではないが、解析設備開発で奮闘する同僚・部下たちを激励しながら垣間見た『宇宙とナノ、そして南極を結ぶ壮大な科学のロマン』を、苦労話などを交えて紹介したい。