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派遣学生REPORT

ジュネーブ大学
(スイス ジュネーブ)

2010年8月17日~2010年9月1日(16日間)

近年、低侵襲で予後良好な脳動脈瘤の治療法として、メッシュ状のチューブを脳血管内に入れるステント留置術が注目されています。最近の研究からステントの形状が血流の減少効果に影響を及ぼすことが明らかとなり、デザインの模索が重要視されています。

ジュネーブ大学とはすでにステント形状最適化プログラムの共同研究に取り組んでいます。これはステントを留置した動脈瘤についてCFD(数値流体力学)解析を施すことにより、その効果を評価し、プログラムで自動的にステントの形状を変化させていくというものです。今回の渡航では、3次元理想形状への拡張に必要な最適アルゴリズムについての検討を行いました。現在使用されている多くのステントは同様のパターンを持っています。今回の渡航では、同じ多孔率でも密度分布を持たせることで、より良好な血流減少効果が現れる等、複数の有意義な知見が得られました。さらに効率的な最適化のためには、私が本研究室で取り組んでいる、ステント設置前の動脈瘤周りの流れの可視化による分析が有効と考えられます。

同大では学生の約4割が国外からの留学生ということもあり、学内ではおおむね英語によるコミュニケーションが可能でした。専攻が異なる研究者との会話ではわからない単語もありましたが、理解しようと努力することで、自ずと語彙力も向上したように実感できました。今後もさらなる研鑽を重ねていきます。

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