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派遣学生REPORT

Carleton University(カナダ オタワ)
2013年1月18日~2013年2月16日(30日間)

近年の目覚しい技術発展によりセンサー、カメラ、バッテリといったデバイスの小型化が急激に進んでいます。宇宙開発においても宇宙機内部に搭載するコンポーネントがサイズダウンし、従来よりも高度なミッション、観測への対応が可能となってきました。その一方で機器が密集することによって、それらからの排熱が増大してしまうこともまた事実です。実はこの「排熱」が宇宙開発エンジニアの頭を悩ます大きな問題の一つとなっています。それを解決してくれるのが「熱制御デバイス」です。私は、熱制御デバイスの中でも日本で開発された「自励振動ヒートパイプ」について研究しています。自励振動ヒートパイプは気液二相流型の先進熱制御デバイスですが、未だにその作動原理に謎が多く、宇宙開発においては実用化に至っていません。本研究では内部気液の流れの様子を数学的にモデリングし、熱輸送現象を予測することを目標としています。

今回、私が訪れたのはカナダの首都「オタワ」です。オタワの人口は約100万人と、仙台と同じくらいの規模の都市です。滞在時には気温が-30℃まで達することもあり、今まで体感したことのない寒さでしたが、アメリカとヨーロッパの文化が交じり合う街並みは美しく、凛とした空気を感じるものでした。このオタワにあるCarleton Universityに1ヶ月間滞在し、熱輸送デバイス数学モデリングのパイオニアであるTarik Kaya教授からご指導頂きました。

渡航後はKaya教授がNASA在籍時に考案した過去のモデリングを元に、今後どのように発展させたらよいかディスカッションを重ね、新たなモデルの考案、アルゴリズムの構築を行いました。このような研究活動の初期段階で世界トップレベルの研究者と交流できたことはとても刺激的で、私の研究者としてのヴィジョンを世界へと広げるのに最高の経験となりました。今後はこの経験を日頃の研究へフィードバックし、一流の研究者になれるよう精進して参りたいと思います。

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左が大丸。