Archive

派遣学生REPORT

15th International Conference on Fusion Reactor Materials(アメリカ合衆国サウスカロライナ州、チャールストン)、
Oak Ridge National Laboratory(同テネシー州、オークリッジ)

2011年10月15日~2011年10月30日(16日間)

私は、核融合炉に使用される材料の中で、高い熱負荷と中性子の重照射という最も厳しい環境にさらされるプラズマ対向材料の最適な材料設計指針を示すと共に、中性子照射による特性劣化を予測し、寿命を評価することを目指した研究を行っています。このプラズマ対向材料の研究においては、原子炉における材料照射実験が必須ですが、現在世界で精密な制御による実験を行える原子炉は非常に限られています。今回の海外派遣では、High Flux Isotope Reactor (HFIR、 高中性子束同位体炉)を有するオークリッジ国立研究所(ORNL)を訪れ、これまでの研究成果と今後の研究計画を検討し、具体化することを目的に掲げました。またORNL訪問に先駆けて、核融合炉材料の開発に関する重要な国際会議であるICFRM-15に出席し、ポスター発表を通じ、普段は会うことのできない世界各国の研究者との議論を行うことも予定しました。

ICFRM-15とORNLにおける発表と意見交換の結果、中性子照射後の試料の損傷組織の定量的な評価が不十分であることや、電気抵抗率から熱伝導率を計算により算出するためには、新たにモデルを構築する必要があること等、今後の研究でさらに調査が必要となる項目を明らかにすることができました。私は次年度、ORNLのHFIRを利用した中性子照射実験のため3か月程度の派遣を申請しており、テクニシャンを含む担当者との顔合わせや、照射後試験実施のために準備すべき情報等を把握できたのは、非常に有意義でした。

#