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派遣学生REPORT

GEM4 Summer School/マサチューセッツ工科大学
(アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ケンブリッジ)

2012 年7 月8日~2012年7月29日(22日間)

私は、バイオメカニクスという医学と工学との境界にある研究領域において、細胞に力学的刺激~中でも特に機械的振動が細胞の運動にどのような影響を及ぼすか~を検証してきました。これまでは細胞の二次元空間での運動しか検証しておらず、より生理学的な環境を模倣して観察するためには、細胞を三次元空間で培養すること(三次元培養)が必要になりますが、現在その方法は十分には確立されていません。一方、派遣先であるマサチューセッツ工科大学のRoger D. Kamm 氏の研究室では、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用いた三次元培養が盛んに試みられており、実際に多くの論文が発表されています。今回はDr.Kammの研究室で、その方法と実態について見聞きする事によって、バイオメカニクスに関する知見を深めようと考えました。

研究室訪問前に、バイオメカニクスに対する知識を得ることに目的にGEM4(Global Enterprise for Micro Mechanics Molecular Medicine) Summer Schoolに参加しました。ここでは主に細胞力学や分子力学を中心としたレクチャーを受け、特に幹細胞やがん細胞の発生や分化に、力学的環境がどのように影響を及ぼすかといった非常に応用的な研究について知ることができました。実習では、私の取り組みに不可欠な細胞への遺伝子導入の手法を体験しました。Dr.Kammの研究室では、渡航の主たる目的であった三次元培養を実践・体得し、細胞の遊走や接着のメカニズムに対する理解を深めることができました。これは今後、私の研究を発展させる大きな原動力になると思われます。

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左が海田。