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派遣学生REPORT

Institut de chimie de la matiere condensee de Bordeaux
(ボルドー固体材料化学研究所)(フランス ホルドー)

2010年8月16日~2010年9月23日(39日間)

カーボンナノチューブは、その優れた特性から構造材料、燃料電池、放熱器、半導体等への応用が期待されている素材です。私たちは、軽量かつ安価であるアルミニウムを母材とした高比強度構造材料の開発を目指しています。作製時に伴う複数の問題点を克服・改善するために、放電プラズマ焼結/熱間押出し複合プロセスといった先駆的な方法を採用していますが、その界面に関する考察は、透過型電子顕微鏡による観察に留まっており、化学的アプローチによる把握・評価は行われていませんでした。そこで今回の海外派遣では、卓越した知識・分析経験を持つ、Jean-François SILVAIN主任研究員の下、本研究所が所有するX 線光電子分光装置などによる分析・評価を試みました。その結果、これまで得られなかった有用なデータと知見を手にするとともに、さらには新規テーマに向け、SILVAIN主任研究員と共同研究に着手する運びとなりました。

今回の滞在で最も印象に残っているのは、本研究所が講座制を採用していなかった点です。学生には指導担当教員がいるものの、研究活動は一人ひとりの主体性に任されています。個々人の自主性や独創性が尊重される一方で、学生同士の意見交換がなされないなど、講座が存在しないゆえのデメリットもあるようでした。世界的な潮流としては、講座制から離れ、各人が独立して研究するスタイルへと移行しつつあると聞きます。今回の渡航は、研究体制・制度についても見聞を広げるよい機会となりました。

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