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派遣学生REPORT

Texas A&M University
(アメリカ合衆国 テキサス州 カレッジステーション市)

2012年2月2日~2012年3月2日(30日間)

近年、環境負荷の少ない石油代替エネルギーのひとつとして固体高分子形燃料電池(PEFC)が注目されています。PEFCは水素+酸素→水という化学反応から電力を生み出しますが、この時、電解質の中をプロトン(H+)が移動します。このプロトン輸送効率がPEFCの発電効率に強く影響を与えることが分かっており、現在私はこのプロトン輸送特性をナノスケールでの原子・分子の動きに注目し、スーパーコンピューターを用いた大規模分子動力学シミュレーションにより解析を行なっています。今回の渡航先であるテキサス大学のMukherjee先生の研究室では、これら電解質膜内部の輸送現象を実験的手法によるマクロな観点から解析を行なっています。そこでマクロスケールに立脚した実験的解析の手法を経験し、どのようにプロトン輸送現象を捉え、どういった物理量に注目しているのか等、彼らの見方や考え方を理解し、知見を広げることを目的としました。

滞在中は、高校時代にアメリカで過ごした経験を活かし、現地の研究者と積極的に議論を交わしました。Mukherjee先生らとは、ナノスケール及びマクロスケールでの電解質膜内の輸送現象の知見を融合させ、今後共通の課題に対してマルチスケールでの解析を行うとともに、PEFCとは異なる新たな研究テーマ「リチウム・空気電池」に向けた共同研究を進めていくこととなりました。その準備段階として既存のリチウム・空気電池に関する論文調査を行い、今後の解析手法について議論しました。1か月間という限られた時間でしたが、新しい研究課題を見出すことができた実り多き海外派遣となりました。

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研究室のメンバーと。真ん中がMukherjee先生、 左から2番目が馬淵。