Archive

派遣学生REPORT

フランス国立中央理科学校リヨン校 トライボロジー研究所(フランス リヨン)
2013年1月29日~2013年2月10日(13日間)

今回、派遣プログラムによってフランス国立中央理科学校リヨン校トライボロジー研究所(LTDS, ECL)に約2週間滞在し、現地の方と協力して実験を行いました。私たちの研究グループは、炭素系の薄膜材料を扱った研究をしており、私はその中でCVD法による多結晶ダイヤモンド膜の成膜、およびその摩擦特性の評価を行っています。ダイヤモンド膜は、高硬度かつ耐摩耗性を持ち、研磨することで低摩擦性を示します。また、半鏡面まで研磨されたダイヤモンド膜は、その表面形状によって高速摺動時に容易に流体潤滑に移行する超低摩擦現象が発現することが知られています。以上のことから、ダイヤモンド膜は摺動部への硬質膜潤滑剤としての応用が期待されています。

今回の派遣では、LTDSのMichel Belin 氏が開発した振動摩擦試験機を用いて、研磨ダイヤモンド膜における局所摩擦低減効果に関する実験を行いました。前述の通り、平滑なダイヤモンド膜は摺動速度に依存して連続的に潤滑状態が推移する無潤滑摩擦現象が発現しますが、本実験では回転や直線の摺動ではなく、高速あるいは微小振動(摺動)と平滑なダイヤモンドを組み合わせることによって、局所的な摩擦低減効果を生み出す機構の可能性の検証、および超低摩擦現象の原理究明を行いました。

実験を通したMichel氏の指導により局所的な摩擦現象について多くの知見を得ることができ、平滑ダイヤモンド膜の潤滑状態遷移についての議論は今後の研究の参考となるものとなりました。また、海外の方々とのより深い研究に関する議論のために、さらに英語力の発展が必要であるということを痛感する事ができました。

#

Michel氏(右)と共に。中央が内藤、左は共に派遣された高橋真美さん