Shanghai Jiao Tong University
上海交通大学(中華人民共和国 上海市)
2012年3月22日~2012年4月20日(30日間)
凍結手術やハイパーサーミア(温熱療法)などの熱を利用した医学的治療法の研究において、生体内伝熱の理論的研究や組織・臓器の加熱/冷却過程の数値シミュレーションなどを行う際、熱物性値は重要な役割を果たします。しかし、生体組織は個体差が大きいことや、血流と代謝による発熱及び吸熱があることから、生体組織の熱物性測定は困難であり、そのデータが不足しています。これまで多くの研究者たちが試みを重ねてきましたが、組織を傷つけない非侵襲的熱物性測定法は、未だ実用レベルに至っていません。これらの問題に対し、私は生体組織のin-vivoにおける熱物性測定を目標とした軟質材料及び液体の非破壊的熱物性測定手法を構築しました。次のステップとして実際に医療現場において諸種条件下での臨床実験を行う必要があります。
今回の海外派遣プログラムでは、中国の上海市にある上海交通大学を訪れ、Institute of Biomedical Manufacturing and Life Quality EngineeringのLUO教授の下、「研究室内でヒトの熱物性測定実験」、「ヒトの死体の熱物性測定実験」、「CTを用いた前腕の血管分布の把握」の3つに取り組みました。実験は現地の2つの病院の協力を得、医学系研究者とのディスカッションをしながら進めていきましたが、いずれも非常に有意な結果を得ることができました。また解剖実験への立ち会いなど、貴重な体験を積むことができました。今後は海外派遣で得られた成果を基に計算・考察を深めていき、新たな知見につなげていきたいと考えています。
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