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派遣学生REPORT

GEM4 Summer School/マサチューセッツ工科大学
(アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ケンブリッジ)

2012年7月8日~2012年7月22日(15日間)

近年、加齢黄斑変性や網膜色素変性症により失明する患者が増加しています。これらの疾患は、光を電気信号に変換する網膜細胞中の視細胞が死滅していくものであり、いまだ有効な医学的治療法が確立されていません。対して、工学的な手法で光を電気信号に変換し、残像する網膜細胞を刺激することによって視覚を再生する人工網膜の研究が世界中で行われています。私は三次元積層技術を用いた人工網膜の開発に関する研究に取り組んでいますが、人工網膜を実現させるためには、工学的な手法に関する知識はもちろんのこと、細胞の特性などに関する知見や、生物学の見地に立った実験手法への理解が必要です。

今回参加したGEM4 Summer School での講義や実験を通じ、細胞力学、発生力学、発生生物学に関する知識を養うことができました。ミクロな世界での細胞の動きに関する知見を広げられたことは、今後、人工網膜設計の最適化を行う上で非常に役立つと思われます。また実験では細胞培養や、遺伝子組み換えに関する基礎的な知識技術を習得するとともに、蛍光顕微鏡の組み立てを実際に行うことで、通常使用している光学顕微鏡の構造に関する理解を深めることができました。さらには教授や参加者との議論を介して、私自身の見聞を広めるとともに、研究に関して新しい気付きを得ることもできました。

もはや研究者が備えるべき基本条件ともいえる英語力の必要性を体感するためにも、海外での共同研究や学会発表といった場に身を置くことが何よりも重要です。このことは経験者として後輩の皆さんにお伝えしたいです。

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蛍光顕微鏡を組み立てている様子。