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派遣学生REPORT

西安交通大学(中華人民共和国 西安)
2013年1月5日~2013年1月12日(8日間)

巨大地震等による地震荷重を受けた原子力発電所構造物の健全性を、簡便かつ高い信頼性をもって評価する手法が求められています。現在私は、代表的な構造材であるオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)、および炭素鋼(SS400)の「残留ひずみ」について電磁非破壊評価法を用いて評価し、その有効性を検証しています。これまでは一軸の引張試験によって残留ひずみを与えた試験片で議論を行なってきました。しかし今後は、より複雑なひずみを与えた試験片においても電磁非破壊評価法が適用可能かという検討を進めていくため、現在共同で研究を行なっている西安交通大学の陳振茂教授の研究室に滞在し、多軸応力によるひずみの定量的評価に関する研究に取り組みました。

多くの実験を通じ、二軸引張試験が適用可能だということがわかり、いままで一軸方向の残留ひずみでしか議論できなかったことが、複雑な方向性をもった残留ひずみに対しても議論できるようになるという大きな知見・成果を得ることができました。地震等によって複雑な応力を受けた構造材料には、複雑な方向性を持つ残留ひずみが生じていることが多く、今後は残留ひずみの量だけでなく異方性まで議論を進め、それを非破壊評価法で定量的評価する方法につなげていければと考えています。

西安交通大学の学生や技術員の方々とは、主に英語でコミュニケーションをとっていましたが、母国語以外の会話は容易ではなく、齟齬が生まれてしまうことも度々ありました。自分の英語力不足を痛感するとともに、コミュニケーションや議論における積極的な姿勢、考えを相手にしっかりと伝える努力の大切さを実感しました。

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右から二番目が佐藤。