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派遣学生REPORT

フランス国立中央理工科学校リヨン校(フランス リヨン)
2013年1月21日~2013年2月1日(12日間)

頻脈性不整脈は脈が速くなる不整脈として知られ、非常に危険な疾患です。不整脈を治療する医療機器としてアブレーションカテーテルが知られていますが、焼灼が不十分だったり不均一になされたりすることによる不完全な治療が問題となっており、治療法の開発やカテーテルの改良が大きな課題となっています。私はアブレーションカテーテルの改良に関する研究に取り組み、生体外で接触状態の観察と温度上昇が測定できるin-vitroのモデルを開発しています。現階段の研究において、ゲルの温度の上昇に関与する力学的パラメータは、さらにゲルのヤング率と粘弾性、カテーテルとゲルの摩擦係数が考えられることが分かってきました。しかし、カテーテルとゲルの摩擦係数は未だに測定されていません。

渡航先のEcole Centrale de Lyon(以下ECL)は、フランスでの理工学・技術系、特に摩擦/摩耗学における最高研究・教育機関として世界でも有名です。今渡航の目的としては、カテーテルとゲルの摩擦係数を測定し、その方法を習得することを掲げました。まずグルと金属の特徴を学び、金属とゲルの摩擦係数は金属の材料によって大きく変わることを理解しました。また、ボールオンディス摩擦試験の原理と手法を学び、PVA-HとAgarose Gel二種類のゲルに対して、316LとNiTi二種類の合金を用いて試験を行いました。予測していた通り、同じゲルでも金属材料によって摩擦係数が変化することがわかりました。さらに同じ金属材料に対してAgarose Gelの摩擦係数はPVA-Hゲルより高いことが示されました。これは今後の研究に対して非常に有意義な結果だと考えられます。

今回は初めての海外派遣でしたが、同じ研究に対しても違う視点を持つことの重要性や、英語によるコミュニケーションの大事さを強く実感しました。また、研究だけではなく、フランスの文化など様々なことを見聞でき、非常に貴重な体験を積むことができました。

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一番左が于。