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派遣学生REPORT

University of Illinois at Urbana-Champaign
(アメリカ合衆国 イリノイ州アーバナ-シャンペーン)

2010年3月30日~2010年4月30日(32日間)

私は生体力学を専門とし、特に力学刺激に対する細胞の応答メカニズムについて研究しています。生体内の細胞は、生化学環境下だけではなく、さまざまな力学環境下にも曝されています。例えば、血管の内壁に存在する細胞は、血流により生じる流体摩擦を常に受けています。これまでの研究によって、力学環境が細胞の成長や分化などに大きな影響を与えることが明らかになってきました。しかし詳細な細胞の応答メカニズムは不明であり、現在も盛んに研究が行われています。派遣先ではマウス由来の胚性幹細胞(Embryonic Stem Cells:ES 細胞)を用いた局所力学刺激負荷実験を行いました。ES細胞とは、体内のあらゆる細胞や組織へと分化できる能力を有する細胞で、組織工学や再生医療分野への応用が期待されています。具体的な実験内容は、細胞表面に微小な磁性体ビーズを接着させ、磁場を利用してビーズにトルクを発生させることで細胞の局所に力学刺激を負荷しました。負荷した力学刺激が細胞の力学特性や遺伝子発現にどのような影響を与えるのかについて調べました。その他には、研究内容に関連した講義やセミナーにも参加しました。

本プログラムに参加させて頂き、いつもとは異なる環境に身を置くことで、新たな視点から自分自身の研究や勉学に取り組む姿勢などを見つめ直すことができました。特にアメリカでは本当に様々な国から学生が集まっているため多くの刺激を受けました。是非多くの学生に本プログラムへ参加して頂き、貴重な経験を積んで頂きたいと思います。

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