ストラスブール大学
(フランス ストラスブール)
2010年8月31日~2010年11月1日(63日間)
「今回は滞在期間が限られていたこともあって、実験装置のセットアップまで手が回らなかったのが残念でした。そこから自分で手掛けることができれば、もっと多様な知見が得られたのではないかと思っています。でも、先方スタッフのサポートがあって、実験・計測に専念することができました。とても感謝しています」。反省点として挙げられたのは「もっとイニシアティブを発揮できればよかった」。自分が担う研究については、いつどんな研究環境にあっても主導する力を持つことが大切なようです。
そして、話は研究スタイルの違いに及びました。「日に3回ぐらいコーヒータイムがあるのです。これにはちょっと驚きました。先生や学生たちが三々五々集まってきて、いろんな話に興ずるのですが、そこは自分が取り組む研究についてざっくばらんに話せる場所でもあり、なにか問題を抱えているような場合は、その解決のための助言なども飛び交います。こうした“開かれた”場所と機会というのは、残念ながら日本や中国ではあまり見かけません。とてもよい習慣だと思いました」。
コミュニケーションは英語で十分事足りたという費さんですが、挨拶など簡単な仏語は話すように努力したとのこと。「フランス人は、言葉を始めとして、自国の文化に並々ならぬ誇りを持っているという印象を受けました。それをレクチャーすることにも、喜びを感じているようですね。また他国の文化や歴史にも、同じように興味を持っているようでした。特に日本の“マンガ”は大人気で、いろいろと質問されたりしたのですが、残念ながら私にはわかりませんでした(笑)」。そして、日本人も中国人も同じ傾向にあるのですが、と前置きした上で、「私たちは総じてシャイで、たくさんの人の前で、自分の意見を開示することに抵抗を持つことが多いようです。でも積極的にコミュニケートすることで、新しい情報が得られたり、人脈も広がったりしていきます。どんどんスピークアウトしていきたいですね」と語ります。
近年、海外の大学・大学院に留学する日本人が急減するなど、若い世代の「内向き志向」が話題になっています。しかし海外に雄飛し、常とは異なる研究環境・文化に身を置くことで、自身の知的資源は決して少なくはない変容を遂げるはずです。費さんのように、研究者が“外向き”であることの意味と意義を、もう一度考えてみたいと思います。
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