ものづくりのフロンティアをゆく!

エンジニアのための分子細胞生物学・解剖生理学の実体験プログラム

海外研修
GEM4サマースクール
(アメリカ、カリフォルニア工科大学)
2008年7月21日〜7月25日

工学的に生命現象を学ぶ医工学。
医学的手法では解明が
果たされない諸問題に
力強くアプローチ。


世界での医工学の位置づけ、研究の意義を知るGEM4研修。
写真5、6

写真5、6 GEM4サマースクール研修にて。

写真7

写真7 カリフォルニア工科大学で開催されたGEM4サマースクールの講師と受講者。本学からは9名の学生が参加した。

写真8、9

写真8 渡邊彩さん(工学研究科バイオロボティクス専攻)、写真9 佐藤卓也さん(医工学研究科医工学専攻)「サマースクール研修での驚きや発見が、これからの学問研究における発奮材料になってくれればよいと思います」。山口先生の思いは、しっかりと学生に伝わっているようだ。

 医工学研究科では、企業等で研究・開発に従事した経験を持つ社会人や医療関係者に向けて「医療工学技術者創成のための再教育システム(Recurrent Education for Development of Engineering Enhanced Medicine :REDEEM)」を実施しています。2008年度は、「機械工学フロンティア」の一環として、大学院修士1年生を対象に開講。その内容は、生物学、分子細胞生物学、解剖生理学、画像診断学、細胞工学などから医療法制概論、医療機器市場概論まで多岐にわたる講義を集中して受講するとともに、ラットやウサギを使った実習が盛り込まれています。学部生時代は解剖などに無縁だった学生が多く、とても刺激的な研修であったとの声がありました。そして、本研修において、さらに得難い経験になったという感想が聞かれたのが、GEM4(Global Enterprise for Micro-Mechanics and Molecular Medicine)が主催するサマースクール(7月21日~25日、カリフォルニア工科大学※5)への参加です(写真5、6、7)。GEM4は、力学の観点から細胞生物学を再構築するための世界的な組織として知られており、このサマースクール研修は、自身が携わる専門分野の基底を成す医学と工学の基礎知識を学ぶとともに、海外の研究者との交流を通じて、新しい視座から医工学を捉えてもらうことを目的とします。 参加した学生の感想を聞いてみましょう(写真8、9)「海外に行くのは初めての経験でした。とても当たり前のことですが、世界は広いという印象を強く持ちました。しかし、それは日本にいたのでは決して獲得できない新鮮な感懐だったと思います。そして、自分自身で考え、意見を持つこととの大切さ、発言して伝えることの難しさも痛感しました。英語力のさらなる鍛錬がこれからの目標のひとつに加えられました」、「講義の場では、講師が説明している途中でも、学生が積極的に質問をしていたことに驚かされました。先生と学生の“距離が近い”という感じです。今回のサマースクールを通じて、医工学は世界的にも注目される学問領域であることがわかりましたし、生命現象に工学からアプローチする意義も理解できました。これからは臆せずに、何にでも積極的に取り組んでいきたいと思います」。いきいきと快活な話しぶり、そして志にあふれた輝く瞳に「機械工学フロンティア」の成果が宿っているようです。

 今、この瞬間は健康を享受していても、私たちはいつ病に倒れるかわかりません。また、人は必ず老いゆく存在であり、身体の機能の低下や不具合は早晩避けられないものです。病気になっても人間らしい生活ができる、あるいは病気にならない健康な生活を送る――クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)の向上のため、医工学研究のさらなる進化・深化を願ってやみません。

取材日:2009年2月9日


※5
California Institute of Technology。アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス郡パサデナにある私立の工科大学。Caltech(カルテク、キャルテク)の略称でも親しまれる。アメリカではマサチューセッツ工科大学(MIT)と並び称される工学及び科学研究の専門大学。校訓は"The truth shall make you free"。

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