ものづくりのフロンティアをゆく!

超音波計測融合シミュレーションの実験による検証

海外研修
シラキュース大学(アメリカ・ニューヨーク州シラキュース)
2009年9月23日~9月28日

研究は、孤独な歩み。
だからこそ価値ある体験となる
プロジェクト型研究。
個々の分担を遂行、統合しながら、
グループとしての潜在力を発揮。


写真6

写真6 シラキュース大学側ホストの樋口先生(中央)を囲んで。

写真7

写真7 左から小泉遼さん、加藤宇海さん、浦沼晴香さん、船本健一助教。

研究の進行とともに深まっていったチームワーク。足し算から乗算の成果へ。

 シラキュース大学での二日間は、各研究室訪問に明け暮れました(図4)。「実験のノウハウなどを教えてもらい、知識・知見を蓄えました。向こうの学生さんの堂々と自信に満ちた説明の仕方など、大いに勉強になったようですよ」と船本先生。「ひと通り説明を受けて、質問しようかと疑問点をまとめ、頭の中で英文を組み立てている内に(笑)、次の話題に移ってしまいます。そうすると、とても残念そうな表情をするんですね。質問がないということは、興味を持ってもらえなかったという理解なのでしょうか」と小泉さん。「自分の研究に並々ならぬ熱意をもっていることが伝わってきました。でも、確かにこちらから言葉を発しないと一方通行になってしまいますね。“質問力”の必要性を痛感させられました」とは浦沼さん。「研究員や各国からの留学生の姿をみて、研究したい! という強いモチベーションを感じた」という加藤さん。「一人ひとりが責任を持って、研究テーマに当たっている印象でした」。そして、自己責任の重さは日本の比ではないとも。「確かに諸外国では、同じ研究室に所属していても、同室のメンバーが何をしているのはまったくわからないというケースも珍しくないのです。確かに研究というのは、属人的であり、孤絶感と無縁ではいられません。だからこそグループや組織で、ひとつの研究テーマを成し遂げていく経験が貴重であり、価値あるものになっていきますね」と船本先生が語るのは、今回の機械工学フロンティアの試みです。
 ひとつの研究テーマに向けて、タスクを分担し、連携しながら進めていく取り組みは初めてだったという3人。「計測のための実験装置をゼロから組み立てなければなりませんでしたが、部品の調達が間に合わず、進捗が遅れたりなどの反省点がありました」というものの、シラキュース大学の樋口先生から受けたアドバイスを計測手法へと反映させ、新しい結果を得るなど、満足のゆく成果を挙げました。

図4

図4 ショートインターンシップスケジュール

 組織する最大のメリットは、個々人の能力を足し算する以上の力で、大きな仕事を成し遂げられることだといわれます。共同研究やプロジェクト型の研究が、最大限のパフォーマンスを発揮するために必須となるのが「情報の共有」「コミュニケーション力」。“隣は何をする人ぞ”では遂行が困難になることは自明です。「はじめは意志の疎通が難しく感じましたが、研究が深まるにつれて、分担した仕事の進行を確認し合うなど、だんだんグループとしての力が発揮されました」と小泉さん、浦沼さん、加藤さん。
 研究者としてこれからも“孤独な歩み”(船本先生談)を続ける時、仲間と共に取り組んだ研究を懐かしく思い出すことになるかもしれませんね。

取材日:2010年2月26日

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