ものづくりのフロンティアをゆく!

カーネギーメロン大学(アメリカ・ペンシルベニア州ピッツバーグ) 2009年7月16日~8月17日

それぞれの研究スタイルがあり、
異なる強みと個性がある。
受容と尊重のスタンスで臨むことの
大切さを学ぶ。

窓から見るいつもの風景。でも、少し眺める場所をかえるだけで、これまで気づかなかった新しい発見がもたらされることがある。同様に海外に身を置くことで-立ち位置や視点を変えることで-今、自分が属している国、組織、コミュニティーの美点、あるいは欠点が、はっきりとした輪郭をもって立ち現れてくるものだ。1カ月をピッツバーグで過ごした大木さんは「限られた体験で、安易な比較はしたくないけれど」という前置き込みで、日米の研究室の差異を語ってくれた。

大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻
吉田・坂本・中西研究室、永谷研究室
大木 健さん 博士課程前期2年


カーネギーメロン大学

写真1.2 カーネギーメロン大学は、物理、経済、化学などの分野で計13名のノーベル賞受賞者を輩出している。

全米有数の名門大学へ。
1カ月間の武者修行?!

 アンドリュー・カーネギー※1の名は、日本においても多くの人が知るところなのではないでしょうか。鉄鋼会社を興し、一代で大成功を収め「鋼鉄王」と呼ばれたカーネギーは、教育や文化の分野への多大な支援(寄付)を惜しみなく行いました。音楽の殿堂「カーネギー・ホール※2」を建てた人物としても有名です。
 大木さんが研究員として過ごしたカーネギーメロン大学(写真1、2)もカーネギーの篤志によるもののひとつ。1900年設立のカーネギー技術学校と、1913年にアンドリュー・メロンが設立したメロン工学研究所を前身とする同学は、計算機科学、公共政策学、経営学、および音楽・映像などの芸術の分野を学理領域とし、それぞれが全米有数の実績を誇っています。工学分野においては、マサチューセッツ工科大学、カリフォルニア工科大学とともにアメリカ有数の名門大学と評価されており、事実、信頼のおける調査機関が発表する全米大学ランキングでも常に上位に位置しています。
 大木さんの武者修行の舞台となったのが、同学ロボット工学研究所バイオロボティクス研究室※3。以下、イノベーション創成研修のテーマである「移動ロボットのSLAMと経路計画」の概要を簡単にご説明しましょう。


※1
1835年11月25日 - 1919年8月11日。スコットランド生まれのアメリカの実業家。貧しさの中から実業の才を発揮し、一代で大財閥を築き上げた。「裕福な人はその富を消費するよりも、社会がより豊かになるために使うべきだ」とし、積極的な慈善活動を行った。
※2
ニューヨークのマンハッタンにあるコンサートホール。1891年設立。1925年、カーネギーの未亡人によって不動産開発業者に売却されたが、名前はそのまま残された。現在は非営利組織によって運営されている。
※3
ロボット工学研究所は、屋外ロボットセンター(FRC)、医療ロボット技術センター(MRTC)など8つの研究センターから構成されている。バイオロボティクス研究室は、ロボット基盤技術センター(CFR)に属す。

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