ものづくりのフロンティアをゆく!

韓国機械研究院(大韓民国・大田広域市)

世界のどこでも
研究できる場があれば、
そこが私のホームグラウンド。

大学院に進学し、研究にまい進していくなかで、いつか必ず「世界」と対峙することになる。本学なら当たり前のことだ。研究のために日本を飛び出していくこともあるだろう。真理を追究する孤高の営みを、言語・文化・生活習慣の異なる国や地域で行わなければならないことになったら、ちょっとつらいものがあるかもしれない。しかし、研究できる喜びが、そんな不安やストレスを凌駕する場合もある。何事もポジティブにとらえることで、海外留学の風景も変わってくる…李さんのケースを見てみたい。

大学院工学研究科 ナノメカニクス専攻
高・荒井研究室
李 貞徹(Lee Jung Chul)さん 博士課程前期2年


誤差を測れ! ナノオーダー、マイクロオーダーの精密計測。

 共同研究のテーマは『超精密大面積加工機のスライド運動誤差測定』です。

KIMMで実験に使用した超精密旋盤

写真2 KIMMで実験に使用した超精密旋盤

 近年、ディスプレイの視野角拡大に効果を持つフィルムや、医療や光通信のキーパーツとして知られるマイクロ非球面レンズなど、高精密度非球面形状加工への要請が高まっています。超精密旋盤加工においては、加工機の運動精度が加工精度に大きく影響を与えます。そこで必要となるのが、加工機スライドの運動誤差の高精度計測です。李さんがKIMMで取り組んだのは1.5メートル級超精密旋盤のスライド運動誤差計測実験。反転法と回転型反転法、2回の計測によって得られたデータを所定のプログラムで処理した結果、約1400ミリメートルの計測長さにおいて、真直度誤差※2は約3マイクロメートル、スライド軸とスピンドル軸※3の間の平行度誤差は約9マイクロメートルであることが確認できました。「通常、研究室で使用している超精密度旋盤は、150ミリメートルというストロークであり、大面積化に伴っては熱変性などの誤差要因が課題となってきます。また、切りくずの除去などにも注意を払わなくてはなりません。他にも工作機械全般の知識や制御装置の使用法など、自分の中での研究課題も見つかり、非常に有意義な機会となりました」。KIMMが目標とするのは、真直度誤差が2マイクロメートルレベル。共同研究はこれからも続きます。


※2
工作機械の機械精度および工作精度にかかわる用語。直線であるべき部分(機械部分)の幾何学的直線からの狂いの大きさ。
※3
回転する軸。

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