ものづくりのフロンティアをゆく!

韓国機械研究院(大韓民国・大田広域市)

世界のどこでも
研究できる場があれば、
そこが私のホームグラウンド。

大学院に進学し、研究にまい進していくなかで、いつか必ず「世界」と対峙することになる。本学なら当たり前のことだ。研究のために日本を飛び出していくこともあるだろう。真理を追究する孤高の営みを、言語・文化・生活習慣の異なる国や地域で行わなければならないことになったら、ちょっとつらいものがあるかもしれない。しかし、研究できる喜びが、そんな不安やストレスを凌駕する場合もある。何事もポジティブにとらえることで、海外留学の風景も変わってくる…李さんのケースを見てみたい。

大学院工学研究科 ナノメカニクス専攻
高・荒井研究室
李 貞徹(Lee Jung Chul)さん 博士課程前期2年


李 貞徹さん

写真3 徴兵制の布かれている韓国。大学入学後の10代後半に、2年超の兵役に服した。

研究に没頭する日々。
夢のその先にあるものを求めて。

 KIMMでは、研究支援(アドバイス)する立場で単身乗り込む李さん。「指導するといっても、相手は博士号を持つ先輩ですし、敬意をもって接するなどの細やかな配慮が必要になります。またKIMMではチーム体制でプロジェクトに臨んでいますから、積極的に溶け込む努力もしなければなりません」。韓国から帰仙すると「あー、帰ってきた」とほっとするという李さん。充実した留学生活のようです。「東北大学は設備も整っているし、研究するには最適な環境だと思います。それに日本は留学生に対しての支援が厚いのです。研究室でも親身になって相談にのってくれる先生や研究室の仲間がいますから、まさに物心両面で留学生活を支えてもらっています」。
 一日のほとんどを大学で過ごす研究漬けの日々という李さん。夢は何ですか? と問えば、意外な答えが返ってきました。「一生懸命打ち込めるものが見つかったので、夢は叶ったも同然なのです。今は幸いにも私を必要としてくれる共同研究の場もあるので、とてもやりがいがあります」。そのポジティブな志向性はどこから生まれてくるのでしょう。「この研究室に来た当時、いろいろとサポートしてくれた先輩がとても前向きな方で影響を受けました。現在私も、二人の留学生のチューターをしているので、よいロールモデルになりたいと思っています。そしていつか日本に恩返ししたいですね」。
 経済・情報・人材などの移動が、国境を越えて地球規模で盛んになるグローバリゼーションの世紀。研究に打ち込める舞台があれば、そこが私のホームグラウンドと語る李さんのような若者が、世界の研究最前線を牽引していくのでしょう。

取材日:2010年2月16日

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