ものづくりのフロンティアをゆく!

火星探査のための飛行システムと制御法の検討/第5回全日本学生室内飛行ロボットコンテストへの挑戦

海外研修
パデュー大学(アメリカ・インディアナ州ウェストラファイエット)
ノートルダム大学(同サウスベンド)
2009年10月18日〜10月25日

めざせ、空と宇宙へ。
躍動する航空宇宙研究のフロンティアで、
未来の風を捉える。


写真4

写真4 人類で初めて月面着陸に成功した宇宙飛行士の名前を冠したパデュー大学の「ニール・アームストロング・ホール」。鋭いエッジをもつ独特の意匠は、航空宇宙分野の名門大学としての並々ならぬ自負を物語っているようだ。

写真5

写真5 ボーイング737型機クラスのジェット旅客機が授業に利用されている

写真6

写真6 当日のアナウンスで30名以上の学生が集まった。他大学の研究成果を見聞し、吸収しようとする意欲が旺盛だ。

写真7

写真7 身振り手振り、そして絵を描いて説明する。伝えたい、つなげたいという強い気持ちがコミュニケーションの原動力だ。

写真8

写真8 NCフォームカットマシンを駆使してつくった模型飛行機を前に議論。率直な意見を寄せてくれる。

日米学生、同じようなことで悩んで、苦労していた!
通底する研究・モノづくりの難しさ。

 海外研修の最初の訪問地パデュー大学は、浅井先生(工学研究科航空宇宙工学専攻、教授)とジョン・P.サリバン博士との研究・学術交流が縁となり、2003年度から学生相互の交流(研究生としての受け入れ等)が続けられてきました。2009年度もパデュー大学の学生(学部3年生)2名が浅井研究室に在籍し、共に機械工学フロンティアに取り組んだという経緯があります。一方、パデュー大学でも実践プログラムとして「AIAA Design /Build/Fly Competition」※7への挑戦を継続しており、これまでに上位入賞の輝かしい実績を挙げています。こうした実践教育を核とした海外研修は今年度で4回目となります。
 パデュー大学の第一印象は「とにかく広いということに尽きます」。「大学運営の飛行場が併設されていて(写真5)、数分おきに学生が操縦する航空機のエンジン音が響き渡っていました。臨場感バツグンです」と荻田さん。浅井先生が続けます。「パデュー大学では、日本でいうところの航空大学校と共同のカリキュラムが組まれています。航空工学の学問・研究とパイロットの養成・実学、それぞれを学理領域としながら、理論と実学(操縦)の両面からアプローチしているのです」。さらに充実した設備が、先端的な教育・研究活動を推進しています。
 交流活動では、荻田さん、宮内さんが機械工学フロンティアの取り組みをプレゼンテーション(写真6)。質問攻勢にあいますが「英語の聞き取りはできても、スピーキングはなかなかできず、ホワイトボードに図を描いて説明しました」とは宮内さん(写真7)。「向こうの学生とざっくばらんに話をしてみると、同じようなところで悩んだり、壁にぶちあたったりしていました。国は違えど、飛行機をつくって飛ばすというモノづくりの難しさは同じなんだなと感じました」。一方、研究の取り組み方に違いを見出す場面も。「パデュー大学ではNC(数値制御)フォームカットマシンが導入されており、手作業に頼らなくても、短時間で模型飛行機をつくることができます。私たちも使い方を教えてもらってつくってみましたが、実にサクサクと出来上がりました(写真8)。設備が“加工の手間とテクニック”を補ってくれるんですね。これはうらやましかったです」と二人は語ります。「手作業では、まずスキルが必要とされますし、何といっても時間を要します。パデュー大学では、設備や機械によって工作の精度を高め、労力を軽減するかわりに、独自のアイディアやクリエイティビティを発揮してもらう、という狙いなのでしょう」と浅井先生。「でも、よくよく観察してみると、仕上がりがかなり大雑把だったりするのですが…」とは宮内さんからの指摘。確かに、本学学生の工作能力に対するサリバン教授の評価は非常に高いものがありました。手仕事の精度、手先の器用さはお墨付きです。



※7
機体の設計・製作・飛行を通じて、学生に実際の工学を体験してもらおうという競技会。AIAA(米国航空宇宙学会)の主催、2009年で14回目を迎える。1位のチームには2500ドルが贈られる。2009年度は、カナダ、メキシコ、イギリス、アラブ、トルコ、スロベニアなどからも含め78チームが参加した。

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