ものづくりのフロンティアをゆく!

火星探査のための飛行システムと制御法の検討/第5回全日本学生室内飛行ロボットコンテストへの挑戦

海外研修
パデュー大学(アメリカ・インディアナ州ウェストラファイエット)
ノートルダム大学(同サウスベンド)
2009年10月18日〜10月25日

めざせ、空と宇宙へ。
躍動する航空宇宙研究のフロンティアで、
未来の風を捉える。


写真9

写真9 駆動に高電圧を要するプラズマアクチュエータの供給システムに、小型の電源装置を用いるのは世界的にも稀有。右の荻田さんの手元にある電源装置を食い入るように見つめる学生たち。

写真10

写真10 浅井 圭介教授

空高く、世界に飛び出せ! 航空宇宙開発の国際ネットワーク、その一員としての自覚を。

 次に訪れたノートルダム大学のHESSERT研究所は、プラズマアクチュエータ研究の世界的メッカ。風力発電のブレード(回転羽根)上の流れの制御や、インテーク(空気取り入れ口)・ノズル内の流れの制御など、先見的なコンセプトに基づいた研究により、早期実用化の期待に応えようとしています。とりわけ前者の風車開発は、米国の産学官共同で行われる総額3600万ドルの巨大プロジェクトとしてすでに動き始めており、地球に優しいエネルギー源の開発に拍車がかかっています。
 そんな巨額開発を背景にしながらも「研究室ではプラズマアクチュエータを駆動させる高圧の電源に、なんとオーディオアンプを代用させていたのです」と浅井先生、荻田さん、宮内さんは驚愕! ユニークで柔らかな発想が、可能性を広げている好例です。ノートルダム大学のオーディオアンプに意表を突かれたあとは、浅井研究室で開発した小型電源装置を紹介。すると「こちらが驚くほどの興味と関心を寄せてくれました。リアクションが明快で、説明のし甲斐があります(写真9)」と荻田さん。
 今回の海外研修全般を通じて「受身ではなく、積極的に自ら発言することの大切さ」、そして「伝えたいこと、議論する材料の有無が、研究交流の成果を大きく左右する」ことを学んだという荻田さん、宮内さん。とりわけ「積極性」に関して言うならば、パデュー・ノートルダム両大学の学生の“常態”として二人の目には映りました。日米学生の違い、と結論づけるのは尚早ですが、取り入れるべき姿勢として掲げてもよいのではないでしょうか。総括して浅井先生は語ります。「二人の英語が、日に日に上達していったのが印象深かったですね。必要は発明の母ならぬ上達の鍵でしょうか(笑)。私はいつも学生に『井の中の蛙になるな』『一流を知れ』と言っています。気後れすることなく、世界の第一線に飛び込み、自分たちの研究が航空宇宙開発の国際ネットワークを構成する節点(ノード)のひとつであることを知って欲しいのです。どんなに言葉が拙くても、自分の取り組みを語ることのできる研究者には、敬意が払われます。もちろん語学力の涵養が重要であることは論をまちませんが、ぜひ『語れるもの』を身の内に携えて欲しい。それを獲得するための努力を惜しまないで欲しい。世界は君たちを待っています」。

荻田さん、宮内さんがもっとも感銘を受けたことのひとつ。パデュー大学のサリバン教授は、NASA長官のアドバイザーを務める世界的に高名な研究者ですが、研究室には誰よりも早く出室して、学生が使用する実験機器の調整をしていたのだといいます。その姿は、研究者としての真摯な規範を示しているだけではなく、現場からモノを前進させよう、飛躍させようという静かな意志と情熱にあふれていました。地道な日々の積み重ねのうえに、時代を動かす研究は稔るのかもしれません。

写真11

写真11 左:荻田力さん(工学研究科・航空宇宙工学専攻、浅井・沼田/永井研究室)、宮内空野さん(流体科学研究所・融合流体情報学研究分野、大林・鄭研究室)

取材日:2009年12月22日

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