ものづくりのフロンティアをゆく!

経年劣化Ni基超合金の高精度非破壊評価システムの開発

海外研修
東北大学-リヨン サマースクール
2009年9月1日~9月11日

研究に国境はない。
グローバルな時代に必要とされる
異文化への敬意と理解を、
自らのまなざしと体験を通じて養う。


写真1

写真1 オリエンテーションと学内ツアー。

世界の多様性と種々相を、
柔軟にとらえる人材の育成を。
期待を翼にのせて、リヨンへ。

 「翼よ、あれがパリの灯だ」と言ったのは、ニューヨーク・パリ間の大西洋単独無着陸飛行に初めて成功したリンドバーグ※1。それから82年後の9月1日、台風の影響で予定よりも遅いフライトに搭乗した恩地さんと高橋さんもまた、聞きしに勝るパリの美しい夜景に言葉もなく見入っていました。シャルルドゴール空港から飛び立った彼らの行き先は、フランス南東部に位置する都市・リヨン。目的は「東北大学-リヨンサマースクール」への参加です。
 「大学院博士課程前・後期学生を対象に、海外の複数の大学と協同して2週間のサマースクールを開催する」というのは、おそらく日本の大学としては初の試み。そこにはどんな背景と経緯があったのでしょうか。「東北大学には、Ecole Centrale de Lyon※2 (以下ECL)、Institut National des Sciences Appliquees de Lyon※3 (以下INSA-Lyon)、Centre national de la recherche scientifique(CNRS:フランス国立科学研究センター)と共同で研究に取り組むELyT Lab(エリートラボ)という組織体があり、数年にわたり国際ジョイントラボとして有機的なつながりを築いてきました。一方、INSA-LyonとECL両校と本学とは、大学間学術交流協定が結ばれ、人的交流が活発に行われてきたといういきさつがあります。そういう意味で、すでにサマースクールの萌芽はあったといえるかもしれませんね」とご説明くださるのは和田直人先生(東北大学グローバルCOEプログラム、流動ダイナミクス知の融合教育研究世界拠点、特任教授)。今回の東北大学-リヨンサマースクールの日本側“仕掛け人”です。
 2009年3月、ECL、INSA-Lyon両校を訪問した和田先生は、先方からサマースクールの提案を受けます。「グローバル時代にふさわしい、大学院教育の新しいプラットホームにしたい」と考えた和田先生は、早速、下記の5つの拠点・プログラムに主催を呼びかけ、学内から広く参加者を募りました。

  • グローバルCOE「流動ダイナミクス知の融合教育研究世界拠点」
  • グローバルCOE「材料インテグレーション国際教育研究拠点」
  • グローバルCOE「脳神経科学を社会へ還流する教育研究拠点」
  • 日本学術振興会「Core-to-Core Program」
  • 東北大学「機械工学フロンティア創成プログラム」

 開校の目的は「若い人材に国際的な教育・訓練の機会を提供することにより、近い将来、研究・教育・産業・社会といったそれぞれの分野で、グローバルに活躍する中核的な人材を育成する」こと。そうです、舞台は世界です。


※1
チャールズ・オーガスタス・リンドバーグ。1902年2月4日 - 1974年8月26日。アメリカ合衆国の飛行家。1927年、「スピリット・オブ・セントルイス」と名づけた単葉単発単座のプロペラ機でニューヨーク・パリ間を飛び、大西洋単独無着陸飛行に初めて成功した。この際、パリ上空で叫んだといわれる有名なセリフ「翼よ、あれがパリの灯だ!」は、後世の脚色との説も。1931年には北太平洋横断飛行も成し遂げている。
※2
エコールセントラルは、ナント、リール、リヨン、マルセイユ、パリの5つのグランゼコール(フランス独自の高等専門教育機関。いずれも超難関として知られ、入学難易度の高さは世界屈指)で構成される名門グループ。フランス国内屈指の伝統を誇り、少数精鋭の教育を行う。理工学についての深い専門知識に加えて、社会や組織をリードする人材を育成するエリート養成校である。
※3
インサ・リヨン。ヨーロッパにおける高等教育機関の中心的存在にして、フランス理工系高等教育機関「グランゼコール」のひとつ。12の専攻分野において年800人以上のエンジニアが巣立っている。これはフランス国内でも最多。学生の4人に1人が海外(70カ国)からの留学生であり、さらに学生の約75%が海外研修を体験している。

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