- 東北大学-リヨン サマースクール
2009年9月1日~9月11日
研究に国境はない。
グローバルな時代に必要とされる
異文化への敬意と理解を、
自らのまなざしと体験を通じて養う。

写真6 フランス語の講義。ロール・プレイングはちょっと恥ずかしい。

写真7 シャモニーにて。「景観を大切にする取り組みが徹底されているようで、どこからみても絵のようにきれいな光景が広がっています」という一方で、落書きの多さには閉口されられたとか。

写真8 左から、高橋圭太さん(機械システムデザイン工学専攻 附属エネルギー安全科学国際研究センター、庄子研究室)、和田特任教授、恩地智史さん(同、小川研究室)
日本の常識は通じない。国境なき時代の研究者に必要とされる異文化への理解と受容。
本サマースクールのカリキュラムには、「フランス語とフランス文化の講義、高等教育制度の紹介」(写真6)も組み込まれ、講義最終日には買い物実習が行われました。「仏語集中講義のあととはいえ、挨拶程度しかできませんから、身振り手振りでコミュニケーションを図りました。なんとか通じるものですね」と恩地さん。「語学力の重要性を再認識した」という二人は異口同音に「英語でもフランス語でもとにかく言葉に出してみよう! という度胸がつきました」と語ります。さらには「暮らしの利便性や生活スタイルひとつとっても日本での常識が、海外~少なくてもリヨンでは~常識ではないことに驚かされた(コンビニエンスストアや路上の自動販売機がない、もしくは非常に少ない)」などと感想はとどまるところを知りません。
滞在中は、CERN(セルン:欧州原子核研究機構)※5やWIPO(ワイポ:世界知的所有権機関)※6、東レ株式会社のヨーロッパ拠点Toray Plastics Europe S.A.Sを訪問し、見聞を広げました。さらには、ホスト側の好意により、ヨーロッパアルプスの最高峰モンプラン(4810m)を頂く観光地シャモニーへのバス旅行(写真7)や、伝統あるリヨン市庁舎でのレセプション等も体験する機会を得ました。「スイスを訪れた際は、陸路で向かいましたが、国境では入国チェックも何も行われず、すんなりと入ることができました。まさにボーダレス。これが欧州連合なのだと身をもって実感することができました」と高橋さん。「今のエピソードに象徴されるように、ヨーロッパはすでに国境なき時代へと突入しています。加えて、世界に目を転じれば、社会的・経済的な動向が、旧来の国家や地域などの境界を越えて、地球規模に拡大していくグローバリゼーションも進展しています。本学はもともと海外大学との共同研究が盛んですが、今後ますます諸外国との協働が増えていくことでしょう。外国の研究者と、ひとりの人間として対峙する場合、必要となるのは異文化への理解と受容です。本サマースクールを通じて、他国の文化に敬意をもつことの重要性を学んでくれたものと思います」と和田先生は締めくくってくださいました。

2010年秋、今度は本学の片平キャンパスにフランス、オーストリア、ロシア、アメリカからの学生さんを迎え、サマースクールが開催される予定です(流動ダイナミクスGCOE等のGCOEやELyT Lab主催)。杜の都仙台を縁取る樹木が、成長とともにその四肢を伸ばすように、国境を超えた学術交流も未来へ向かって伸びやかに広がっていきます。
取材日:2009年12月21日