ものづくりのフロンティアをゆく!

固体酸化物燃料電池システムと材料評価

海外研修
日韓学生シンポジウム
2008年11月22日〜11月25日

その未来は、
地球の明日とつながっている。
固体酸化物形燃料電池SOFCの
基盤研究に挑む!


写真4 日韓ゼミでのポスターセッション

写真4 日韓ゼミでのポスターセッション。非常に熱心に耳を傾けてくれた。

写真5

写真5
下段左から巖寺智顕、吉田圭佑、兼子祐司、福田泰広、上段左から雨澤浩史准教授、秋山博道、呉屋祐喜、井口史匡助教(敬称略)。
チームワークの下、他者と協調することの難しさ、個々の力が結集することで生まれる強み・メリット…多くのことを考えさせてくれた機械工学フロンティア。次年度への期待も高まる。

研究、文化、そして人的交流、
実り多き日韓学生シンポジウム。

 2008年11月22日、SOFCの研究にいそしんだ学生たちの姿は、冠岳山(クァナクサン)を望むソウル大学※4のキャンパスにありました。これから3日間、「日韓学生シンポジウム」が開かれるのです。このシンポジウムは、2000年から東北大学の水崎教授、川田教授とソウル大学のYoo教授との間で定期的に開催されているもので、ソウル大学、東北大学が毎年交互にホスト大学を務めています。回を重ねるごとに規模が大きくなり、9回目となる今回は55件の発表と湯上教授らによるチュートリアルレクチャーが行われました。企画・運営を行うのは、日韓両国の学生からなる運営委員会。電子メールなどを通じて話し合い、準備を進めていきます。やりとりはもちろん英語。両大学の教職員からのサポートはありますが、学生が主体的に運営していくものです。
 シンポジウムの形式は、一般の学術国際会議に準じており、口頭発表する学生は20分の持ち時間で研究成果をアピールします。また、発表者には、開催前に英文の研究発表を投稿することが課せられており、その内容は会議録(プロシーディング)として刊行されるなど、本格的なものです。
 このシンポジウムは、研究発表・自主運営を通じた両国学生の研究レベルの向上だけではなく、国際的に通用するディスカッション能力、プロジェクト遂行能力の習得が目標に掲げられています。さらには、これからの両国に必要とされるフレンドリーシップ、パートナーシップの形成を、実感の伴うコミュニケーションの中から育んでもらうことも目的とします。そのため、学術的な交流以外にも、イベントなどを通じて、相互理解への努力がなされています。
 初めて参加する学生にとって、最も大きな懸念材料となるのが英語によるコミュニケーション能力。「その点は、お互いに英語を母国語としない国柄ですから、障壁が低くなっているのではないでしょうか」と雨澤先生。事実、インフォーマルな場では、能動的に話しかけるなどし「英語は度胸だと思った」と語る学生も。しかし、質疑応答における積極性などには、まだまだ課題が残されました。もちろん中には、英会話を得意とする人もいますが「何語であれ、何を語るのかが問われているのだと思った」という感想もきかれました。
 時に“近くて遠い国”と称される韓国。しかし、見て聞いて食べて! 文化を五感でなぞることでぐっと距離が縮まったことは大きな収穫。来年の開催地は東北大学。ソウル大学の人たちが暖かく迎えてくれたように、自分たちも心からのおもてなしをしたい――連綿と続けられてきた日韓学生シンポジウムに、新しいページが加えられることでしょう。

環境性に優れ、発電効率が高い電源として、期待が高まるSOFCは、2020年〜2030年までに小容量(〜数kW)・中容量(数十〜数百kW)シテスムを普及させることをめざして、各研究所・企業メーカーが開発にしのぎを削っています。今後SOFCが、私たちの暮らしに身近なものとなった時…その根底には、研究者たちの試行錯誤とたゆまぬ努力が積み重なっていることに、想いを馳せたいと思います。

取材日:2009年2月10日




湯上・井口・長尾/佐多研究室へ




水崎・八代・佐藤研究室へ




川田・宇根本/雨澤研究室へ


※4
Seoul National University。略称はソウル大(ソウルデ)。ソウル市冠岳区冠岳路599に本部を置く大韓民国の国立大学。1946年設立。16の単科大学からなる。大学の標語は『真理は我が光』。

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