ものづくりのフロンティアをゆく!

要救助者情報収集ロボットの開発とフィールド実験

海外研修
ロボカップ2009グラーツ世界大会
2009年6月29日〜7月5日

人の力の及ばない災害現場に、
人間の英知と知見で立ち向かう。
レスキューの地平を切り拓く
ロボット開発の最前線へ。


写真9

写真9 能動スコープカメラを操作する澤田雅俊さん(応用情報科学専攻、田所研究室)

図3

図3

写真10

写真10 兵庫県消防学校・神戸市消防局の全面協力を得た。

図4

図4

ASCチーム

過酷な現場にいかに対応できるか。“使用者目線”を取り入れて、ユーザビリティの向上を。

 現在、レスキュー活動の探査などで使用されている工業用内視鏡ファイバースコープカメラは、狭い場所に進入した際のケーブルの絡まりや障害物によるスタックがしばしば問題となります。そこで、田所・大野・竹内研究室、昆陽研究室ではでは、挿入部すべてに繊毛駆動機構を搭載し、全体で推進力を発生させる能動スコープカメラを開発しています(写真9)。角度が付けられた繊毛全体にバイブレータによる振動を与えることで、繊毛先端が固定・すべりを繰り返し前方に進む機構です(図3)。
 機械工学フロンティアでは、災害現場を模した施設で、レスキュー隊員による能動スコープカメラの踏破実験を行い(写真11)、その性能の分析と、レスキュー隊員による“現場目線”からの使い勝手の評価、意見・感想を聞くこととしました。
 プカメラは、狭い場所に進入した際のケーブルの絡まりや障害物によるスタックがしばしば問題となります。そこで、田所・大野・竹内研究室、昆陽研究室ではでは、挿入部すべてに繊毛駆動機構を搭載し、全体で推進力を発生させる能動スコープカメラを開発しています(写真9)。角度が付けられた繊毛全体にバイブレータによる振動を与えることで、繊毛先端が固定・すべりを繰り返し前方に進む機構です(図3)。 機械工学フロンティアでは、災害現場を模した施設で、レスキュー隊員による能動スコープカメラの踏破実験を行い(写真11)、その性能の分析と、レスキュー隊員による“現場目線”からの使い勝手の評価、意見・感想を聞くこととしました。
 実験の結果は、繊毛が地面と接する面積が大きいほど推進する、滑りやすい路面では方向転換が困難、砂利・砂地など振動が吸収されやすい場所では進まない、などの有益な結果を得ることができました(図4)。レスキュー隊員からは、救出活動の優先順位付け(トリアージ)のためのマイク機能や、二次災害を防止のためのガス検知機能があるとよい、天地の判断がつくようにしてほしい(現状では挿入部とカメラ映像の動きが同期)、手荒に扱ってもびくともしない堅牢さがほしいという声も聞かれました。「たくさんの機能を搭載すれば、踏破性や運動性能に影響が出るというジレンマがあります。今後は、意見の有効性を検討しながら、改良を重ねていきます」と澤田雅俊さん。

 取材から時を置かず、ハイチを襲ったマグニチュード7.0という大地震のニュースが飛び込んできました。自然災害(時に人為的な原因による大事故も)を止めることはできませんが、科学技術によって被害を最小限にすることはできます。一分一秒を争う人命救助に、研究開発者ができることは何か。本研修に取り組んだ学生を突き動かしてきたのは、災害救助技術を向上させたいという一途な想いだったのかもしれません。

写真11

写真11 左から櫻田健さん、田所教授、(下)桐林星河さん、竹内助教、大野講師、ロメール・エリック研究員、山崎将史さん。

取材日:2009年12月22日

↑ページトップへ

田所・大野・竹内/昆陽研究室へ




吉田(和)・坂本・中西/永谷研究室へ