祝辞 〜令和2年3月に卒業・修了する学生諸君へ~

祝辞

 機械系主任専攻長の湯上です。
 令和2年3月に機械知能・航空工学科および機械系専攻を卒業・修了される皆様、卒業・修了おめでとうございます。本来であれば、3月25日に萩ホールで開催予定であった機械系学位記授与式において一人一人に学位記を手渡しする予定でしたが、大変残念ながら新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止せざるを得ませんでした。授与式での挨拶に代わって、機械系教職員を代表してこの場で祝辞を述べさせていただきます。

 機械知能・航空工学科を卒業する諸君、卒業おめでとうございます。学部4年間の本学での学びの成果として、今日の日があります。入学式の後のオリエンテーションでこの萩ホールに集ってから、仙台の地でクラスでの講義はもちろんサークルやアルバイト先でも大きな学びの機会があったと思います。そして、3年次からは研究室に配属になり、いままでとはまた違った人間関係や研究の雰囲気を経験したと思います。それらの経験は諸君の成長を促すものです。これから卒業する学生諸君の多くは大学院修士課程に進学します。修士課程では、自ら学び、課題を解決する姿勢が求められますが、諸君にはその準備はできていると思います。4月から始まる研究を中心とした学生生活を楽しんでくれることを願っています。

 大学院機械系専攻修士課程を修了する諸君、修了おめでとうございます。研究活動を中心とした学生生活で多くのことを学んだ2年間であったと思います。自分自身で振り返って満足できる2年間だったと思えることを期待しています。多くの諸君はこれから企業等に勤務して社会に出ていきます。企業では、大学以上に決められた期限・時間内で成果を出すことが求められます。大学院での研究内容が直接的に業務と関連する学生は少ないと思いますが、課題に向き合う姿勢やそれを解決するための考え方などは修士研究のときに学んだことそのものだと思います。諸君の活躍を信じています。

 博士課程を修了する諸君、研究者としてのライセンスを取得したことに敬意と祝意を表します。多くの困難があったのではないかと思いますが、それを乗り越えて今日があることに誇りをもってください。アカデミアはもちろんですが、企業においても技術者・研究者として世界レベルで活躍するためには博士号が重要です。その価値と責任を自覚しつつ、社会のあらゆるセクターのリーダーとして活躍して欲しいと思います。修士課程を修了し博士課程に進む諸君は、3年後にこの場に立って世界を見渡してほしいと思います。

 最後に、大学で「学ぶこと」の意味について、私が思っていることをお話ししたいと思います。
 諸君は、10代の終わりから20代半ばの年齢で4年以上の時間を大学という場で過ごしてきています。人生においてこの時期は、物の見方や価値観の形成の観点から大きな意味を持つ年齢層であると思います。諸君は大学生というある意味自由で(社会的)責任やしがらみのない立場で、専門分野の教育研究だけでなく多くの経験をしています。多くの学びや経験を通じて、諸君の中には知らず知らずのうちに自らの考え方や価値観が創られてきています。それこそが諸君の「知性の原点」だと思います。私は、その「知性の原点」を持つこと・創ることこそが「大学で学ぶこと」の意味だと思っています。諸君はこれから人生の次のステージにステップアップします。仙台を離れ大学の場を離れ遠く世界へ歩んでいくことでしょう。順風満帆の時ばかりではないかもしれません。時には道に迷うことも有るかもしれません。しかし、自らの「知性の原点」さえ見失わなければ、また元に戻ってやり直すことも、進む道を選ぶこともできると思います。

 本年度は、工学部、そして機械工学科が設置されてから100年になる年です。記念すべき節目の年に卒業・修了される諸君に、あらためまして祝意を表します。ご両親をはじめとして諸君を支えてくれた方々への感謝の気持ちを持っていただければと思います。そして、機械系で、東北大学で、そして仙台で学んだことを胸に、我が国そして世界の舞台で活躍してくれることを祈念して祝辞とさせていただきます。

令和2年3月25日

機械知能・航空工学科長 
機械系主任専攻長 

湯上 浩雄